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『柿二つ』 高浜虚子 [古書籍]

冬眠中につき・・、過去記事を再アップいたしました。
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高濱虚子の小説、『柿二つ』です。大正4年、新橋堂より刊行されました。
見開きに、『我が輩~』でお馴染みの中山不折による子規の挿絵があります。構図は例の左横顔。

「序」の章で著者が述べているとおり、小説、とも言えるし伝記、とも言える内容です。読者にとっては(しかも後世の人間にとっては)どちらでも構わないのですが、子規居士が亡くなり未だ関係者が多く係わっている中でこういう物語を発表するのには、著者にとってはいろいろと考えるところがあったのでしょう。それで、結果「序(定義説明)」付きの「小説」という形になったのだと思います。

どうでも良いような事ですが、たとえば「私」にちゃんと「あし」とルビが振ってあったり、そういう細かい心遣いが素敵だと思います。師であり同士であった子規に対する、キヨシさんの思慕の念を感じます。
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ジャパニーズ・アールヌーボー [古書籍]

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橋口五葉 装丁の『虞美人草』夏目漱石 著、明治41年、春陽堂。
漱石と橋口五葉の名コンビ。今風に言うとコラボとかいうんでしょうね。

この装丁に関しては、もう「素晴らしい!美しい!」という言葉しか出てきません。
以前もご紹介したことがあるのですが、帙は地味~な濃紺ベースに芥子色でタイトル。で、それをぱかっと開くとこの華やかな美しい装丁!たまりません。
正統派アールヌーボー調のデザイン自体も素晴らしいのですが、特筆すべきはこの色彩感覚。ひなげしの妖しく・儚げで・無垢な表情がうまく表現されていると思います。

例えば同じ題材を扱った画は、有名なものは海外の印象派の華やかで明るいものがありますが、あれはあれで情景としてとても良い。親子の語らいと春の日差し、太陽。ひなげしは光が分化したように画面に散らばってとても生命感に溢れています。借景としてのひなげし。

それとはまったく異なるベクトルを持つひなげしが、この五葉の装丁だと思います。
固い皮に包まれグロテスクな棘をもつ蕾。蕾を支える茎はアンバランスに細く、触手のよう。
そのくせ花が開けば、この上なく無垢な表情で薄紙のような花弁を空に向ける。
『虞美人草』の装丁を依頼されてから、おそらく五葉はこの花を何度もスケッチしたのでしょう。ひなげし的にベストの角度で姿が描かれていると思います。のたうつような葉の挿入もいい。

彩色に関しては

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藤島武二とアールヌーヴォー [古書籍]

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最近図書館で借りて読んで面白かった本。
『画文共鳴―「みだれ髪」から「月に吠える」へ』 木股知史 著。岩波書店より、2008年。

前半は藤島武二と雑誌『明星』の関わりについて、ミュシャやボッティチェリの画を引用しながら論じる。後半は、萩原朔太郎と恩地孝四郎を中心に、詩作と装画の今風に言うところのコラボレイションについて。
「パクり」扱いを受けてそれほど高く評価されない感がある(夢二なんかと比べるとその扱いの差は甚だしい)藤島武二ですが、私は好きです。夢二も好きですよ?でも藤島の画にあらわれる女性の理想主義的な美しさは、とても素敵だなあと思います。夢二の描く女性はもっと、現実的というか、触れなば落ちん、というような印象があります。それはそれで夢二の魅力でもあるんですが。

資料集め、大変だっただろうなあ・・。と思いながらとても楽しんで読みました。

画像は、一番上が『画文共鳴』の表紙にも使われている藤島武二の挿絵。出典は『みだれ髪』 鳳晶子、東京新詩社より、明治34年。
下は、同じく『みだれ髪』より、藤島武二による夕涼みする女の画。夕涼みという艶っぽいモチーフを取り上げながらも気高い感じが藤島の真骨頂だと思います。
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みごとな翻訳 [古書籍]

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『人肉質入裁判』。何の本だか初見では分かりません。私もかなり悩みました。
翻訳は明治期、英文学の翻訳者としてはトップ・オブ・トップ、井上勤。他にも、ベルヌの『月世界旅行』や『ロビンソン漂流記』『ガリバー旅行記』なんかの翻訳を手がけています。ちなみに『ロビンソン漂流記』は『魯敏孫漂流記』、『ガリバー旅行記』は『大人国』という邦題。

閑話休題。『人肉質入裁判』は、ウィリアム・シェイクスピアの『ヴェニスの商人』の邦題。
内容を知っていればあぁ、って思いますが、読んだことない人にとっては「??」。
明治期の文学者達は、憧れの西洋の言葉を自分たちの言語で表現しようとあーでもないこーでもないと頭をひねって翻訳語を積み上げていったのだと思います。『人肉質入裁判』、良い邦題。きっと井上氏、この邦題を思いついたときは「してやったり!」みたいな感じだったのではないでしょうか。
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今年も宜しくお願い致します [古書籍]

明けて1月も半ば・・。相変わらずの更新ペースな古書ブロでございますが、本年も何卒宜しくお願い致します。

最近は、何故か相方が突然浮世絵に興味を持ち始め、図書館やら書店やらで文献を漁っています。とは言っても自身の趣味の為ではなく仕事に絡んだ興味なのですが。
食事時の会話も、浮世絵ネタが多くなってきた気がします。

そんな彼の最近の愛読書は『くずし字解読辞典』。児玉幸多 著、東京出版コンパクトながら実力充分。頼りになるヤツです。
コレを読むと、学生の時の古文書学の講義を思い出します。『吾妻鏡』が教材だったのですが、サッパリ読めなくて辛かったなあぁ。



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よいお年を! [報告など]

今年も、実り多い良い年でした。
家族、友人、その他たくさんのお世話になった方に感謝!

振り返ってみると、今年一番多く(繰り返し)読んだ本は、1Q…ではなく、
『海と海とをつなぐ道 パナマ運河建設史』 D・マカールー著、文化出版局(現在は絶版。図書館などをあたってみてください)という本。これは面白かった。
上・中・下3巻あってかなり読み応えアリ。土木建築の知識が無いと(私は全くない)なかなかすんなり理解できない。私は相方が工学部出身だったので随所レクチャーしてもらって読み進めました。でももちろん、専門的なとこはさらっと飛ばして読んでもOK。この本のホントの面白さは、裏テーマがアングロ・サクソン拡大史になってるところ。
あと、マラリアについてもすごく詳しく書いてあります。面白い本です。

それでは、皆様よいお年を!


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『聖母の曲芸師』 [古書籍]

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12月ですね。街はクリスマス一色。これでもかっ!てくらい青色LEDのイルミネーション
そんな季節なので、『聖母の曲芸師』。堀口大学翻訳、原作はアナトール・フランス。大正14年、至上社より。
画像は本体のものです。カバーは、ベージュに白地の抜き地デザイン。本体の、ステンドグラスっぽい切り絵風のデザインがクリスマスっぽくて好きです。
『聖母の曲芸師』、とっても良い邦題だと思います。語呂も良いし、何より字面がイイ。
ストーリーも、なぁんかクリスマスっぽくて良い感じです。やっぱりクリスマスは『クリスマス・カロル』とかこういう感じのが良いです。
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『漾虚集』 夏目漱石 [古書籍]

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久々の更新。特に忙しかった訳ではなかったのですが・・。

今回もエクス・リブリス繋がり。
夏目漱石の『漾虚集』 明治39年、大倉書店。装丁は橋口五葉。
表紙は藍染め布で良い感じです。ただ、保存が悪いとすぐにぼろぼろに。
画像は扉絵部分。
おそらく、留学帰りの漱石がエクス・リブリスという魅力的な物があるんだ、次回の本には是非それを付けたい、というような感じで五葉に依頼したんじゃないでしょうか。
はじめから蔵書票が付いている本というのも不思議なもんですが、きっととにかく付けたかったのでしょう。
ジャパニーズ・アールヌーボーな感じで素敵だと思います。



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艶意匠エクス・リブリス [古書籍]

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山下慶助氏旧蔵書に添付の自作エクス・リブリス。
こういう、エロティックなモチーフの蔵書票も作家の東西問わず多いです。
銅版画だとちょっと写実的にすぎてどぎつく感じてしまうモチーフも、木版だとどことなくユーモラス。
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『日本の書票』 [古書籍]

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『日本の書票』 日本書票協会・編、1982年、文化出版局。
この本では「蔵書票」「エクス・リブリス」「書票」などいろいろな呼び方があるのを「書票」に統一。
日本を代表する、書票をつくる作家さんの作品が数多く収められています。日本における書票の歴史もさらっと。カラーページも多くて綺麗です。巻末の参考文献も流石の充実度。

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左より、山下慶助。芹沢銈介。

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佐藤米次郎。斎藤清。

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棟方志功。武井武雄。

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小島悳次郎。川上澄生。

それぞれに「らしい」書票で、眺めていると飽きません。各書票について大きさ、製作技法も記載されているのも嬉しい。上の画像はごくごく一部。他にももっと沢山の作家さんの作品が収録されていますので、もし古書店で見つけたら買いだと思います。
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